【トゥルトゥルトゥルルー】【トゥルトゥルトゥルルー】 ♪トゥットゥルー トゥットゥルー 向うでトラちゃんの<ドウブツ類コールソング>が聞こえる。 なんだなんだと覗きにいくと、 (わ、ハトじゃん!) トラちゃんはトゥットゥルしながら、うなづく。 ハトはスリムで小さく、そのまま鳩笛にしたいような、こどもである。 ハトが来るなんて、 それも、部屋の中に、来てるなんて!! 「ル、ルル~~~~ル、ルル~~~~」 私もトラちゃんに負けずに歌いだす。 「ル、ルル~~~~」と、 ありったけのナカヨシキモチをこめて歌う。 するとハトは歌に合わせたように、元気に部屋をアチコチし始めた。 (ひゃーよろこんでるぅ) われわれのデユエットは力を得て、ぐんぐんボリュームアップだ。 たたみの上のハトに向かって、花に水をやるように、コールソングのシャワーをふりかける。 ♪トゥットゥルー ル、ルル~~~~♪ 部屋は水槽のように、トゥットル、ルル~と満ちてくる。 ハトのおなかから、あたまを越えて、ぐんぐん満ち溢れる。 コールの水の満ちた部屋を、ハトはスイスイ、スコスコと歩き回る。 トゥルトゥルトゥルルー ルルルルル~ スイスイ、ツツツー ルルルル スコスココー (あ、ベランダに出た。行っちゃうの?) それ!カム・バック、それ!カム・バックー トゥットゥルルー トゥットゥルルー ルッルルル~ ルッルルル~ と、デユエットはボリュームを上げる。 ハトは歌を聞くとすんなり帰ってくる。 何回もそんなことをくりかえして、 なんだかゴールに一喜一憂するサッカーの決勝場面みたいだ。 ハトがふいにこちらにやってきて、私の足の甲をツンツンした。 わ、かわいいね、ちっとも痛くないね。ボールペンみたいなかんじだね。 と思ったら ”ポト” ウンコした。 【鳥は飛び立つ前に、身を軽くするためフンをする】ときいた。 (帰るの?・・・ちょっとおねーさん達ノリすぎちゃったかな?) ピタッとうたを止め、黙ってハトを見つめた。 ハトは敷居の上にぴょんと乗った。そして、首をかしげ空を見たとおもうと、 バタバタと羽ばたきして飛び去った。 一人前の力強い羽音だった。 サンキュー、たのしかったよ。 そして、ちょっぴり ゴメンネ。 .....4/9/8 (水) ジャンル別一覧
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